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一般質問 〜ヤングケアラーについて〜

本会議で行う一般質問とは、議員が市の一般事務に対しての執行状況また将来の方針、政策的提言や行政の課題などを執行者に直接質すことです。

6月議会では、通常、一人40分の持ち時間が短縮され15分になりました。これは、新型コロナウイルスワクチン接種事業に職員が動員されるため議会対応が難しくなることが予測されたためです。

今回の一般質問では、「ヤングケアラーの支援について」の1項目のみを取りあげました。この言葉の発祥はイギリスであり、日本ではその概念がまだ広くは知られていないように感じますが、以前に比べて耳にする機会が増え、注目が集まっています。イギリスでは、18歳未満がヤングケアラー、18歳以上24歳位までがヤングアダルトケアラーと分類され、家族の介護やケアにより子どもの教育を受ける権利が奪われることに対する危機感から、1980年代後半より実態調査が進められ、1995年には「ケアラー法」が制定されています。

この問題は、少子高齢化が進む日本においても決して他人事ではありません。

ヤングケアラーについて、厚生労働省のホームページには「法令上の定義はないが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされている」とあります。また、具体例として、「障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事を行う子ども」、「家族に代わり、幼いきょうだいの世話をする子ども」、「日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている子ども」、「アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している子ども」などが挙げられています。

ヤングケアラーを生み出す要因は、核家族化によりケアを担える大人が家庭内から減っていることにあるといわれており、その行為が家庭内のプライバシーの問題であるために周囲に気づかれにくい状況を生み出していることが、問題を深刻化させています。また、自分の自由な時間を持つことが困難で、就学機会が制限され、学力の低下や進路にも影響が及ぶこと、友人関係の確立ができずに社会的な孤立に繋がることなどが問題視されています。

ヤングケアラーの深刻な事態は見過ごすことができません。市や関係機関が連携し、適切な支援を進めることが重要です。阪神間では、神戸市や尼崎市が20代までを射程にいれて、支援体制を検討していますが、芦屋市としては、この問題をどのように捉えているのか、以下の質問を行いました。

質問① これまでに「芦屋市における実態調査」は実施されているか、ヤングケアラーに該当すると思われる事例はあるのか、また、芦屋市における実態をどのように認識しているのかを問う

回答 市独自の実態調査は行っておらず、要保護児童対策地域協議会のなかで、ヤングケアラーに該当すると思われる事例を確認している。

 

質問② ヤングケアラーになった子どもの成長過程における影響についてどのように認識しているのか?

回答 年齢や成長の度合いに見合わない責任を負う影響は、親子関係、友だち関係、学習面に表れると認識している。

 

質問③ ヤングケアラーについて、教職員や職員の理解の醸成を図るために、今後どのような取り組みを進めていくのか?

回答 教職員や福祉部門の職員に対してヤングケアラーなどに関する合同研修の機会を設け、意識の共有を図る。

 

質問④ ヤングケアラーに対する今後の支援策について問う。

回答 社会的認知度を上げ、子ども家庭総合支援室や福祉の総合相談等の窓口を広く周知する。また、高齢者や障がい者を支援する機関において、改めて家庭の状況を把握。校長会や生徒指導連絡協議会などの機会では、今後も児童生徒理解を深めて対応したい。

 

【私から一言】  

今年4月、匿名の男性が本市市役所を訪れ、「ヤングケアラーの支援に充ててほしい」という手紙と現金100万円の入った封筒を置いて行ったことは、メディアにも取り上げられ記憶にも新しいところです。寄附者の温かいお気持ちに沿い、これからの取り組みに活用されることを願います。

すべての子どもは社会の宝であり、希望であり、そして未来を創っていく存在です。しかし現実には、生まれ育った家庭の事情などに子どもの将来が左右され、その道が閉ざされてしまう状況も少なくありません。子どもたちが夢や希望を持ち、可能性を信じて未来を切り開いていけるようにするのが大人の使命であると思います。ヤングケアラーに対する理解が社会に広まり、問題意識が共有され、一人一人に支援が繋がるよう要望をしました。

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