会派視察2日目(長崎市)

2日目は、長崎市に移動。視察項目は「多機関協働型地域包括支援事業について」「包括ケアまちんなかラウンジ運営事業について」「人事戦略の策定について」の3項目でした。盛り沢山の内容でしたが、多岐にわたり学ばせていただきました。
長崎市多機関型包括的支援体制構築事業
長崎市では急速な高齢化(令和7年高齢化率34.9%)や単身・8050問題などの進行により、生活課題が高齢・障害・子育て・生活困窮など複雑化している。従来の支援では対応が難しい世帯が増加するなかで、どの窓口に相談しても必要な支援につながる「包括的相談支援体制」を整備することを目的としている。国が推進する「重層的支援体制整備事業」を基盤とし、多機関協働による支援の一元化・可視化・継続化を図るモデル事業として位置づけられている。

包括ケアまちんなかラウンジ運営事業
「長崎版地域包括ケアシステム」を推進する中において、その中核拠点「包括ケアまちんなかラウンジ」は、市医師会に委託され、看護師らが常駐し、在宅医療・介護の相談に応じている。高齢者の医療機関への通院困難という地域事情を踏まえ、退院後の療養や在宅看取り、介護制度、難病支援などの調整、市民・専門職双方への支援を行っている。相談事例として、身体障害者手帳の取得支援や多職種連携の調整などがある。市民に向けた看取りパンフレット「大切な人の穏やかな旅立ちのために」や専門職に向けた「看取り支援マニュアル」の作成を通じた情報発信、人生会議の推進も行っている。
人事戦略の策定
長崎市は公務員志願者の減少と若手職員の離職増加という構造的課題に直面している。職員エンゲージメントスコアも低い。市はこれらの解決に向け、若手中心のワーキンググループによる「人材獲得」「人材育成」「人材活用」「職場環境整備」の4要素を中心とした人事戦略を策定した。具体的には、多様な採用枠の創設、ミスマッチ防止策、1on1ミーティングの推進、キャリア支援プログラムの導入などに取り組んでいる。これらの総合的な施策により、令和6年には離職者数や求職者数が減少し、改善の兆しが見え始めているところである。
私からの一言
芦屋市では、地域包括支援センター(高齢者生活支援センター)が市内に設置され、高齢者に関する総合相談窓口としての機能を担っていますが、行政には専門職が少なく、連携がスムーズに行われていないと感じることもあります。長崎市の「多機関連携による包括的支援」や「地域住民が気軽に相談できる拠点」の設置は、高齢化の進展や住民の生活課題の複雑化・複合化に対応するために極めて重要であり、大きな意義があると考えます。住民の暮らしを支える包括的な支援体制を構築することは、芦屋市が目指す「地域共生社会」の実現に不可欠です。
一方の人事戦略の策定については、芦屋市にとっても職員の定着率やモチベーション維持は同様に重要な課題であります。長崎市が取り組む「職員の声の可視化」や「改善サイクルの構築」は、職員の定着率向上とモチベーション維持という本市の課題に対して有効な示唆を与えています。こうした手法を導入することは、芦屋市役所の組織文化をより透明性が高く、風通しの良いものへと変革する第一歩になると感じます。職員が日々の業務で感じている課題やアイデアを積極的に吸い上げ、それを具体的な改善行動へと結びつける仕組みは、職員一人ひとりの参画意識を高め、組織への帰属意識を醸成することにもつながるのではないでしょうか。 2日にわたる会派視察は、多くの学びと示唆に富んだものになりました。この視察で得た知見を、今後の議会活動に活かしてまいります。

